全身の健康を守る歯周病ケア
- 2026年5月12日
- 医療コラム
こんにちは。
自由が丘の歯科医院 セルサスデンタルクリニック東京です。
近年、年齢を重ねてもご自身の歯をしっかりと残している方が増えてきた一方で、歯周病にお悩みの方もいらっしゃるかと思います。歯周病がどんな病気であるかご存じでしょうか。
「名前は知っているけど、具体的にはよく分からない」という方も多いかと思います。
実は、日本人の約80%が歯周病にかかっているとされおり、歯を失う原因としては虫歯をしのいでいる状況です。また、歯周病の初期段階では自覚症状がほとんどありません。
そして歯周病は全身の病気との関連が多く指摘されており、お身体の健康を守るためにも歯周病を悪化させない口腔ケアが非常に大切であると言われています。
「気づいた時には歯周病が進行していた…」という事にならないように、今回は歯周病についてのお話です。
歯周病って何?
歯周病は、歯と歯ぐきの境目付近に放置された汚れが原因となります。
この汚れとは、以前の医療コラムでお伝えした、細菌の塊である歯垢(プラーク)や歯石のことを指します。
歯周病は、初期段階では「歯肉炎」呼ばれ、歯ぐきのみが炎症を起こしている状態から始まります。
歯肉炎になると、歯ぐきが赤く腫れたり、歯ブラシをすると歯ぐきから出血が見られたり、場合によっては歯ぐきに歯ブラシが当たると痛かったりします。
この痛みや出血に触らない方が良いと考え、歯磨きでも該当部分を避けて磨くような方もいらっしゃいますが、この状態を放置すると症状は進行し、「歯周炎」となります。
歯周炎になると、歯を支えている骨がだんだん吸収され無くなっていきます。
そのまま放置を続けると、歯がぐらつき、最悪の場合は歯が自然に抜けてしまうこともあります。
歯周病で最も大切なのはセルフケアです。また、歯周病になってしまった場合は早期発見・早期治療ももちろん重要で、定期的な歯科受診と歯石除去などの専門的な口腔ケアが歯周病進行の予防につながります。
見逃しがちな歯周病のサイン
歯周病のサインは、小さな変化でわかりにくいものの、いくつかありますのでご紹介します。
例えば、先述した歯ぐきの腫れや赤み、歯磨きや歯肉を触った時の出血は毎日ご自身のお口を確認していると小さな変化に気づくことができます。
口臭の悪化や歯のぐらつき、位置の変化などにも注意が必要です。
特に、歯みがき時の出血は多くの人が経験すると思いますが、これを単なる刺激反応と見過ごさず、歯科医院で相談することが大切です。
歯周病によるお口の変化
歯周病によってお口の中はどのように変化してしまうのでしょうか。
まず、初期段階では歯ぐきの腫れや赤み、出血が主な症状ですが、そのまま放置すると歯を支える骨の吸収が始まり、歯ぐきが下がってきます。
すると、今まで歯ぐきや骨などの歯周組織で守られていた歯の根っこが露出するため、歯が長く見えるようになり、歯と歯の間にある隙間が目立つようになります。
さらに、進行すると、歯ぐきから膿が出たり、歯のぐらつきなども生じてきます。
また、歯と歯の間にできた隙間にはプラーク等の汚れが溜まりやすく、汚れが放置されやすい口腔内環境となります。放置された汚れはやがて歯石となります。
歯石はセルフケアの歯磨きでは取り除くことができないため、歯科医院で取り除かない限りは、歯に付着し続けます。
隙間が歯石で一時的に埋まることで、歯のぐらつきは止まったように感じる方もいらっしゃいますが、これは大変危険な状態です。
歯石の下では歯周病の細菌が活発に活動し続けるため、歯周炎はどんどん進行していきます。歯を守る組織はなくなっていき、新しくできた隙間にはまた歯石が溜まる、という悪循環に陥りやすいのです。
そのままの状態を放置していると、歯を支えるための骨や組織が限界を迎え、歯が抜けてしまいます。
歯で物を噛むと浮いたような感覚がある場合は、歯周病がかなり進んでいる可能性もあるため要注意です。
歯周病が全身の健康に及ぼす影響
歯周病は、口内だけでなく全身の健康にも影響を及ぼすことが知られています。
歯周病と全身疾患の研究も進み、思いもよらぬ病気と歯周病が相互作用を及ぼしている可能性が指摘されています。
動脈硬化、狭心症・心筋梗塞、糖尿病や誤嚥性肺炎などとの関連は以前から指摘されていましたが
近年では肥満、慢性腎臓病、骨粗しょう症やアルツハイマー型認知症との関連もあるとされています。
また、妊娠中に歯周病が胎児へ及ぼす影響も存在し、低体重児出産や早産のリスク因子とされています。
お身体の健康を保つために、歯周病ケアを含めた口腔内の健康を保つことは非常に大切なのです。
歯科医院で行う歯周病治療
歯科医院での歯周病治療は、病気の進行度に応じて異なります。
初期段階では、クリーニングによる歯石とプラークの除去が中心です。
また、歯周病の治療にはご自宅でのセルフケアが非常に重要なので、正しい歯磨き方法をお話しする時間を設ける場合もあります。
一人ひとりの症状に合わせたブラッシング方法や清掃補助器具の提案などをご説明しながら歯磨きの練習を行います。
歯周病が進行し、歯周ポケット深い部分に付着した歯石や肉芽組織と呼ばれる悪い組織がある場合は、それらの除去を行います。必要に応じて歯ぐきを開いて外科的な処置を行う場合もあります。
歯周病を予防する日常ケア
先述したとおり、歯周病予防で何よりも大切なのが、ご自身で行う日々の口内ケアになります。
適切な口腔ケアがご自身でできるようになると、歯周病はもちろん、虫歯のリスクも減少します。
まず基本としては、正しいブラッシング方法での歯磨きと、デンタルフロスや歯間ブラシを使った歯間清掃です。
歯科医院ではブラッシング方法のお話やそれぞれのお口に合った歯の清掃器具の提案を行っていますので、かかりつけの歯医者にてご相談されるのもよいかもしれません。
これに加え、定期的な歯科検診とクリーニングで、自分では取り除けない歯石やプラークを除去します。
3ヵ月に1度程度の目安で歯医者での診察を受けることで、健康できれいな口腔内を保つことができます。
歯周病が進行するその前に、全身の健康管理として歯科医院への受診を捉えてみるのはいかがでしょうか。
監修:阿部響子
セルサスデンタルクリニック東京
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